東京高等裁判所 昭和50年(行ケ)123号 判決
一、本件審決が、本願商標と引用登録商標とはともに「ダイヤ」(金剛石)の称呼・観念を生ずるので類似する商標であるとした判断に誤りはなく、原告の主張は理由がない。
(一)、成立に争いのない乙第一号証の一・二・四(三省堂発行「コンサイス外来語辞典」)、同第二号証の一・三・四(技報堂発行「建築用語辞典」)、同第三号証の一・二・四・五・六(社団法人木材資源利用合理化推進本部編集発行「現代の建材」)、同第四号証の一・二(「サンデー毎日」昭和五〇年一一月二三日号)および弁論の全趣旨を総合すると、本願商標を構成する文字中、「スチール」の文字は、「鋼鉄、はがね、鋼鉄製の」などを意味する外来語として世上一般に慣用されている言葉であるばかりでなく、建築または構築専用材料を取扱う業界で、「スチールドアー」「スチールサツシ」「スチールシヤツター」などのように商品の材質を表わす用語として普通に使用していることが認められる。
ところで本願商標の構成から「スチール」の文字を除いた「ダイヤ」の文字が「ダイヤモンド」をつゞめた略語・略記として金剛石もしくはそれによつて象徴される価値の高いものなどを意味する言葉として日常親しく使われていることは、あえて証拠をあげるまでもないほど明かな事実である。
そうしてみると、本願商標をその指定商品に使用すれば、構成する文字中「スチール」の文字部分は指定商品の材質(品質)を表示したものといえるから、その自他商品の識別標識としての機能を果す部分は「ダイヤ」の文字にあるといわねばならない。
そして「ダイヤ」「スチール」の各部分とも比較的明瞭に発声・聴取できる言葉であり、一般的にはこれを結合して構成したものと連想・感得されやすい「ダイヤスチール」を、「ダイヤ」「スチール」の言葉・意味とは無関係な一体不可分な創造語として把握し、常に一連の称呼で使用せざるを得ないような要因は認められない。
したがつて本願商標は、その自他商品の識別標識としての機能を果す部分「ダイヤ」の文字部分で、「ダイヤ」の称呼、「金剛石」の観念を生ずるものといわざるを得ない。
(二)、一方成立に争いのない乙第一号証の一・三・四(前掲「コンサイス外来語辞典」)。同第二号証の一・二・四(前掲「建築用語辞典」)、同第三号証の一・二・三・五・六(前掲「現代の建材」)、同第四号証の一・二(前掲「サンデー毎日」)、同第五号証の一・二・三(吉田工業株式会社発行カタログ)ならびに弁論の全趣旨を総合すると、引用登録商標を構成する文字中「アルミ」の文字は外来語「アルミニウム」をつづめた略語・略記として一般に慣用されている言葉であるばかりでなく、「アルミサツシ」「アルミドア」「アルミ建材」「アルミ建具」などのように商品の材質を表わす用語として建築または構築専用材料を取扱う業界で普通に使用していることが認められる。そして引用登録商標の構成から「アルミ」の文字を除いた「ダイヤ」の文字が「ダイヤモンド」をつづめた略語・略記として金剛石もしくは価値高いものなどを意味する言葉として日常親しく使われていることは、前(一)項認定のとおりである。
そうすると引用登録商標をその指定商品に使用すれば、構成文字中「アルミ」の文字部分は指定商品の材質(品質)を表示したものといえるから、その自他商品の識別標識としての機能を果す部分は「ダイヤ」の文字部分にあるといわねばならない。
そして「ダイヤ」「アルミ」の各部分とも比較的明瞭に発声・聴取できる言葉であり、一般的にはこれを結合して構成したものと連想・感得されやすい「ダイヤアルミ」を、「ダイヤ」「アルミ」の言葉・意味とは全くかかわりない一体不可分な創造語として把握し、常に一連の称呼で使用せざるを得ないような要因は認めがたい。
したがつて引用登録商標は、その自他商品の識別標識としての機能を果す部分「ダイヤ」の文字部分で「ダイヤ」の称呼、「金剛石」の観念を生ずるものといわねばならない。
(三)、前(一)、(二)項の判示事実によると、本願商標は自他商品の識別機能を果す構成部分が片仮名で語頭前半部を占めること、またこれが「ダイヤ」の称呼、「金剛石」の観念を生ずることで、いずれも引用登録商標と全く一致するといえる。そして両者の指定商品がともに金属製建築または構築専用材料に属し、用途を同じくする類似の商品であることはいうまでもない。そうすると本願商標は引用登録商標と類似する商標というほかない。
原告がその主張にそうものとして指摘する過去の商標登録例、その他の証拠によつて認められる商標登録例の存在は、いずれも前掲説示にてらし、この判断を左右するものではなく、他に前記判断をくつがえすに足りる証拠はない。
二、以上のとおりであるから、原告の本訴請求は理由がなく棄却をまぬがれない。